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アースキーパー・ネットワーク

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by kisan35

食品として認可済みの遺伝子組み換えトウモロコシに毒性が発覚

【ベルリン/パリ 2007年3月13日】 モンサント社製の遺伝子組み換えトウモロコシを与えられたラットの肝臓と腎臓に毒性が現れたことが、新たな研究( 注1 )により明らかになった。すでに人間や家畜が摂取している認可済みの遺伝子組み換え作物に、内臓に与える毒性作用の可能性が確認されたのは初めて。

この研究は、モンサント社が欧州委員会に欧州での販売許可申請用に提出した自社の遺伝子組み換え殺虫性トウモロコシMON863 ( 注2 )の安全性調査報告書を専門家らがあらためて審査したもの。本日発行の『環境汚染と毒物学の記録〔Archives of Environmental Contamination and Toxicology〕』に発表された。

欧州委員会はMON863の食品と家畜飼料への使用を認可しているにもかかわらず、この研究ではMON863が健康に重大なリスクがあることを示している。

モンサント社が作成した安全性調査報告書は、グリーンピースが起こした訴訟( 注3 )によって得られたもので、フランスのカン大学遺伝子組み換え技術工学の政府専門家であるギリス・エリック・セラリーニ教授主導の専門家チーム( 注4 )が審査を行った。

本日ベルリンでグリーンピースと共同記者会見を行なうセラリーニ教授は、「モンサント社の分析結果は、厳格な精査ではなく非常に疑わしいものだ。動物の体重変化に十分な分析が行なわれていない。またモンサント社は重大な尿検査の結果を隠蔽していた」と語った。

グリーンピースは、モンサント社のMON863トウモロコシを、直ちにすべて世界市場から撤収することを要求し、各国政府に対し、すでに認可済みの遺伝子組み換え作物について早急に再評価に取り掛かり、現行の検査方法を厳しく見直すべきである、と呼びかけた。

欧州連合は2005年8月にMON863の飼料使用を認可し、2006年1月には食品として使用を認可している。2003年にMON863を与えられた実験動物の血液検査に重大な変化が見られて以来、その研究結果に対して激しい論議が行なわれてきた。欧州委員会は、この遺伝子組み換えトウモロコシの安全性に疑問をもつ過半数を超えるEU各国の反対を押しきってMON863を認可したが、セラリーニ教授の審査結果は、この安全性への疑問を科学的に証明した。その中で「現在の調査結果では遺伝子組み換えトウモロコシMON863は安全とは言えない」と結論している。MON863を認可している国は、EUのほかオーストラリア、カナダ、中国、メキシコ、フィリピン、アメリカ合衆国、そして日本である。

日本政府はこの殺虫性MON863の食品と飼料への使用を2002年に認可し、殺虫性MON810や除草剤ラウンドアップをかけても枯れないNK603との掛け合わせである遺伝子組み換えトウモロコシ品種も食品として認可している( 注5 )。

「日本政府は今回明らかになったMON863の健康へのリスクを深刻に受け止め、至急にMON863の日本市場での流通を禁止すべきだ」と、グリーンピース・ジャパン遺伝子組み換え問題を担当するアキコ・フリッドは語る。

注1
出版物は5月発行予定。
グリーンピースによる審査結果の概略 (PDFファイル : 30KB)

注2
審査された遺伝子組み換えトウモロコシの名称はMON863。Cry3Bb1遺伝子が導入され殺虫性を発揮することで、トウモロコシの根につく害虫Diabrotica Virgiferaを土壌で殺す。またMON863には抗生物質耐性遺伝子も組み込まれている。

注3
詳しくはグリーンピースの資料 "The MON863case-a chronicle of systematic deception" (PDFファイル : 85KB 英文)をご覧ください。

注4
研究チームはカン大学セラリーニ教授の指導のもと、フランスの独立科学団体GRIIGENの専門家を含め行なわれた。

注5
安全性審査の手続きを経た遺伝子組み換え食品及び添加物一覧 (厚生労働省医薬食品局食品安全部平成18年8月15日現在)

お問い合わせ
特定非営利活動法人グリーンピース・ジャパン
東京都新宿区西新宿8-13-11NFビル2F
電話 03-5338-9800 FAX 03-5338-9817
遺伝子組み換え問題担当 アキコ・フリッド
広報担当 村上京子
by kisan35 | 2007-03-14 08:36 | エコロジー食